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食の専門家が集う家

食の専門家が集う家

古い日本家屋には雨が似合います。この家に初めて出会った初夏の昼下がり、ざんざんと雨が降っていました。たっぷりと雨の湿気を吸い込んだ日、この家は心なしか膨らんでいます。畳と木の香りは瑞々しく、いまだに色香を漂わせながら語りかけてくるようです。
かねてより気になっていたこの家屋の歴史については、数年前に建築調査が行われ、昭和6年に建てられたこと、そして建主は京都の青果市場を開いた西村嘉兵衛氏であったことがわかりました。嘉兵衛氏は、明治から大正期の住人であった大隅正経氏からこの土地を譲り受けており、大隅家は代々、御所内の儀式のお膳を司る役目を担っていました。図らずもこの地には、京都の食文化の中心、天皇に通じる食の専門家たちが集っていたのです。
お茶の儀式といえば茶道や茶会が思い浮かびますが、冬夏のお茶はいたって我流です。単一畑の希少品種を飲み分ける煎茶の喫茶は新しく、手本もありません。季節ごとに変わる水温や茶葉の状態を確かめ、テイスティングを繰り返しながら淹れ方を探求し、新たな茶味の発見に一喜一憂する私たちにとって、この家は道なき道を行く勇気を与えてくれる、大いなる装置なのです。
8月25日(火)から始まる改装では、お客様ならびに近隣の皆様にご不便をおかけいたします。開業11周年を機に、少し整備させていただくことになりました。9月2日(水)より営業を再開し、より見やすく、訪れる価値のある体験の場として、新たな冬夏、日日 gallery nichinichiをお届けしてまいります。今後ともどうぞよろしくお願い申し上げます。
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