カテゴリー
Category
冬夏の新茶が「おそい」わけ。
冬夏が「新茶」と呼ぶのは、その年に最初にでた新芽を摘んだ一番茶から、お盆(8月中旬)までの限られた期間です。煎茶、釜炒茶いずれも、品種それぞれが自ら醸す、青青とした果実のような香りと清涼感、「新茶」ならではの若々しさは、迎える暑さに向けて、心身を整える茶力に溢れています。
「八十八夜」の唄にある通り、お茶は立春から八十八日目あたり(5月始め)に摘採期を迎えることから、「新茶」は初夏〜5月の季語としても知られます。昨今の新茶市場は早まる傾向にあり、温暖な鹿児島地区では3月のうちに新茶が登場します。一方、冬夏の新茶が店頭に並ぶのは6月下旬から7月上旬で、慣例より遅いご案内になります。
その理由は冬夏の茶葉が育つ環境に関係します。私どもが扱う茶葉は全て、農薬や化学肥料を一切使わず、自然由来の農法によるものです。このため茶畑はいずれも慣行農業地域から少し外れた山間や高地に広がることが多く、5月になっても朝晩は冷え込み、氷点下になることもあります。それに伴い収穫時期は5月中旬から徐々に始まります。収穫後の製茶作業を経て、農家から一番茶が出荷されるのはおよそ6月上旬から、天候次第では6月下旬までずれ込みます。
冬夏ではこの自然の循環を尊重しています。性急な成長を求めず、十分に葉力を蓄えた冬夏の新茶は、氷出しや水出しで淹れてもかぐわしく、この時期にしか味わえないフルーティなアロマがあります。夏を超えると茶葉に熟成がかかり、甘露深い味わいが生まれるのも、自然農法による茶味の醍醐味です。
みなさまには「遅い新茶」をお待ちいただき感謝申し上げます。ときおり高山の彼方を仰ぎ見ていただき、そこに息吹く青葉、自然を受け入れて栽培する農家の丁寧な茶仕事に、思いを巡らせていただけましたら幸いです。
朝5時の茶畑に立つ(滋賀県朝宮)