コレクション: 宝瓶
宝瓶は明治時代に登場した比較的新しい茶道具で、玉露や上等な煎茶など、低温で淹れるお茶に適した茶器です。語源をたどると、密教で甘露や浄水を満たした神具の瓶に通じます。つまり宝瓶とは「中に満ちているものが尽きない」という象徴を担い、豊かになるというより、充足が絶えず巡ることを表すとされているそうなのです。
宝瓶は胴の部分を直接持って使うため、玉露や上等な煎茶など、低温で淹れた少量の茶水を大切に味わうのに適した茶器です。掌全体でお茶を包むように扱う所作を通して、心身を集中させながら客人に最上の茶味を差し出す。そうした満ちる感覚をよく表す名前だと言えるでしょう。
少量のお茶を尊び、静けさのなかで「淹れる」という行為そのものを象徴的に高めようとする宝瓶は、日本独特の茶の美学を体現しています。ゆっくりと時間をかけて淹れる茶味に、ふとした落ち着きを見出すことができるのが、宝瓶なのです。